創業は大正12年、そう関東大震災の年。2023年で創業100年になります。

決して「きれい」でも「おしゃれ」でもない佐賀市の店舗で祖父や父が結婚指輪を造っている姿を幼少期から見てきました。

金やプラチナを溶かす「ヴォー！」というバーナーの音

溶かした貴金属をハンマーで叩いて成形する「カンカン！」という音

叩いて伸ばした貴金属を熱して冷やす「ジュ―！」という音

薬品が焦げる独特な刺激臭・・・・今でも鮮明に思い出されます。

それから時は経ち成人した私も東京銀座の宝石時計専門店で、気づけば同じ業界で17年勤めてました。

その間に廃れていった商店街。その商店街の片隅にある祖父、父のお店も同様に活気を失い、父も高齢になっていました。

そんな状況が気になっていた私は40歳を機に家業を継ぐために佐賀に帰郷しました。

そして新しい、若いお客様に知ってもらう為に自分達で出来る、他店ではマネできない結婚指輪が出来ないか・・・・そして「佐賀鍛造マイスターリング」が出来上がったのです。

既製品ではできない、オリジナルデザインで造るシンプルで丈夫な鍛造製のオーダーメイドの結婚指輪です。しかも既製品と変わらない価格・・・。

現代はデジタル、コンピューターの時代。ジュエリー作りも3DCADを使いデザイン重視の時代です。しかも有名ブランド大人気の時代です。

「このままアナログな技術や小さなお店が軽視され無くなっていっていいのだろうか？」

そんな素朴な疑問から刀鍛冶が作るのと同じアナログで、不器用な結婚指輪を知ってもらいたいのです。

「かわいい」とか「きれい」とか「ブランド名」という表面的なことではなく”結婚”という本質を知ってほしい。

もちろんコンピューターで作るわけではないのでデザインが多少制限されてしまうのがデメリットです。

しかし職人個人の、作り手の気持ちがこもった結婚指輪で幸せになってもらいたい。そんな気持ちが伝わるのがアナログなモノづくりの一番いい点ではないのでしょうか。

お店の気持ちがこもった結婚指輪、自分たちで意見を出し合って完成した結婚指輪。

大切にしない人はいません。
同じように夫、妻を大切にしない人はいません。

シンプルがゆえに飽きが来なく流行に左右されません。流行を追っかける洋服ではないのです。

それが結婚指輪というものだと考えます。

「シンプルに、そして永く」